新型コロナウイルスは猛威を奮いを振るい、経済状況は依然として悪化の道を辿っている。4月7日の「緊急事態宣言」の発令により、営業自粛・休業した飲食業界や小売業界を中心に、様々な業界で派遣社員やアルバイトの”非正規切り”が相次いでいる。
新型コロナウイルスの影響で今年2月に入ってからインバウンド需要が一気に落ち込み、観光・宿泊・旅行に関連する業種を中心に非正規社員の雇用も縮小していた。しかも年度末の3月は派遣やアルバイトの契約更新の時期にあたっていたため更新されない事例が激増してしまった。また、正規社員の解雇や、採用内定の取り消しも増え未曽有の経済危機となってしまった。
2日間で168件の相談

連合(日本労働組合総連合会)の調査部が3月30〜31日の2日間に実施した「新型コロナウイルスに関する緊急集中労働相談」には新型コロナウイルスの影響で採用内定の取り消しや解雇契約解除で困っている人などからの相談が寄せられた。
2日間で受け付けた相談は合計168件。相談内容は、「雇用関係」(解雇・退職強要・契約打ち切りや休業補償)が最も多く5割強を占めたほか、「労働契約関係」が1割弱あった。雇用関係の相談のなかには、内定取り消しに関する相談も1割ほどあった。

年代別に見ると、20~30歳代と40~50歳代がそれぞれ約4割で、60歳以上が2割弱だった。性別では女性が約5割超、男性は約5割弱。雇用形態別では、パートタイマー・アルバイト・契約社員などの正社員以外からの相談が約6割強を占めた。業種別の相談件数は、サービス業(旅行観光、イベント、ブライダル、郵便)などが3割超で、以下、飲食店・宿泊業、製造業、教育・学習支援業が続いている。
連合は3月上旬にも緊急集中労働相談を行っており、その際には電話で191件、LINEで42件の相談を受けている。
リーマン・ショックとの比較

2008年9月アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営破綻に端を発し、世界規模の金融危機が発生し、日本では「リーマン・ショック」と呼んだ。
日本はアメリカへの経済依存が強い輸出産業から大きなダメージが広がり、結果的に日本経済の大幅な景気後退へ繋がっていった。
リーマン・ショック時の経済危機は「100年に1度の危機」と騒がれた。

日本ではリーマン・ブラザーズの経営破綻直後から企業の求人が完全に止まった。2008年前半までは企業の求人案件に対応できないほど人材市場は活況を呈していたが、中途採用市場も冷え込んだ。
そして2008年10月に入ると、製造業の期間工や派遣労働者の契約更新を拒否する「雇い止め」や中途解除を実施する「派遣切り」によるリストラの第一波が襲った。事態を重く見た厚労省は2009年3月までに派遣労働者2万人を含む約3万人の非正規労働者が失職すると発表。実際にそれを上回る非正規失業者が発生した。
今回のコロナ・ショックも、安倍晋三首相は「日本経済が戦後最大の危機」「未曾有の国難」と呼んでいる(4月7日記者会見)
金融機関が余剰資金を抱えている状況で、金融システムも総じて安定している中で、市場が混乱しているのは「コロナ・ショック」による株安が「ウイルス」に起因しているためだ。全世界レベルで人やモノの行き来が停滞してることによる経済後退なのでリーマン・ショックとは大きく異なる点でもある。

景気後退という点では「リーマン・ショック」も「コロナ・ショック」も共通しているが、金融機関に起因していることと、ウイルスに起因していることで異なる対処が必要となってくるだろう。
今回のコロナ・ショックは、まずは感染予防と財政政策が急務になる。
感染予防ができないとウイルスに対しての不安も取り除くことはできない。財政政策がしっかりしていないと生活に対しての不安を取り除くことはできない。この2点を急がないと人は動かないのである。人が動かなければモノも動かなくなる。
次いで金融政策という優先順位になってくるはずだ。
この優先順位も内容も非常に重要なので、政府の今後の方針や政策に常にアンテナを張って自粛しながら生活していきたいものだ。
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